平成14年1月   2002.1
1月29日(火)

耳を閉じることはできないが 口を閉じることはできる人間は そのようにできています

【20432日】

 昨日、吉祥寺に映画を見に行った。いつものことで時間調整などせずにフラリと出かけたので、次回まで40分ほどの間が出来た。そこで時間調整などには最適ないつものコースであるジャズ喫茶<A&F>で休憩。自動ドアが開くと同時に流れ出るフォービートの心地よさに身を任せながら、何時になく混雑している店内の空席を探すと、オレの嫌いなトイレ前の席。早速注文を取りに来る女の子に、読心術のごとくに「コーヒー」と口を動かすと、得たりとばかりにこっくり頭を下げ去っていく。これこれ、この形がジャズ喫茶の心地の良い所作・・うぅ〜きもちがよい。
 「いらっしゃいませ〜こんばんは〜何人様ですか〜席にご案内します〜」・・・バ〜カやろうぅ〜気安すいぜ、ましてや席ぐらいてめ〜の好きなとこに座らせろやい・・・ケッェ〜まったく!・・・と、常々腹の中で呻いている。いつの頃からこんな挨拶が流行りだしたのか?慇懃無礼の典型すり込み型まったく薄気味悪いったらありゃしない。 嫌いな席というものはどうにも居心地が悪い。音を受け入れる体制に入れずコーヒーを待つあいだもテーブルの上には高村薫著<神の火>後編が捲られもせず置かれたまま。腰位置の最善を探しながら少しずつ体制を入れかえる。
そのさなか、何気ない視線の先にあったトイレの脇の貼り紙に、ビックリ仰天心臓がゆっくりながらパンとはねた。このジャズの老舗は先の文章にもあるように、本来DON'T TALK DON'T SPEAKのジャズ・リスニングルーム。
なのに、オレの3分の2年にもわたるジャズ人生の美学であるルールを、その便所の脇にあるたった一枚の貼り紙のために冒してしまった。コーヒーを運んできた女の子に「この貼り紙本当なの?終わりって、閉店って、本当なの?」思わずオレは大声を発してしまったのだ。その時、その女の子も、心なしか肩を落とし、こっくりと頷いた。
ショッ〜〜〜〜ク!ダイショック!
<A&F>の客としては、通い続けるという上客ではなかったが、開店以来30年通っていたジャズ喫茶だった・・・沿線のイヤ東京の、いやいや日本の文化であるジャズ喫茶の老舗が、またひとつ灯を消して行くことが、一ジャズファンとして、酒場に身をやつしてしまった同業のものとして・・・寂しさに変わる言葉が見あたらない。
吉祥寺のジャズ事情に関しては、野口伊織さんが昨年58歳という若さでなくなったショックに続くことで、街の定点としての大きな損失であることは確か。この事実は、田中真希子外相・・・更迭どころの騒ぎではないのだ。
が、昨夜の更迭劇で小泉内閣に対する失望感から、定期購読していた小泉内閣メールマガジンの配信拒否をした。

1月27日(日)

私は人間なのだから、人間のことで私に無縁なものは何一つない はテレンティスの言葉

【20430日】

 午後も夕刻にとっぷりと押し迫った3時過ぎ、昨夜、遅くまで一緒に呑んでいた渡邊監督からメールが届いた。
「今日の落語会は、中野ではなく王子でっせ!」オレの勘違いだった。昨夜ほろ酔い機嫌で監督を誘った落語会が、てっきり中野の「川柳川柳独演会」と思っていた。勘違いを詰りもせず「せっかくだから王子に行くつもりだよ」。それではと監督の車に同乗させてもらい、相撲の優勝決定戦を見てから出かけた。日曜の環七は商業車の姿も薄く、気持ちのよい流れ乗った監督の運転さばきに身を任せると、あれよという間の20分たらずで、到着してしまった。かって知ったる興行主の唐茄子屋、踊り場で手ぬぐいを売る、元暴走族の肩書きを持つ落語家林家しん平、普段着姿の本日の主役権太郎師匠に軽く会釈、青森からわざわざやってきていた唐茄子屋会員番号2のえんどうさんに、過日の失礼をわびる。(ちなみに会員番号1はオレなのだ。)
トトがトンと鳴る太鼓に幕が開き、唐茄子屋の前座の常連で権太郎師の弟子のごん白くんが板に付く。演じるお題は狸の恩返し<狸賽>。なかなかそつなくまとめて将来が楽しみ。次は柳家の噺家には珍しく権太郎師の<井戸の茶碗>。これはもともと古今亭の噺だが、師匠がこのところ少しずつネタ掛けしているものだという。少しずつ板に乗せているとはいえ結構な出来の良さ、40〜50分とんとんと噺の落ちが付き、足が痺れたふりをしながら降がる師匠の愛嬌にドット湧き、会場は一気に温度が急上昇。次は自衛隊あがりの強面古今亭志ん五の<真田小僧>で休憩。
後半は、林家しん平のお得意ブラックライトを使ったガイコツかっぽれ。これはこの会場の大きなステージでは、ちと無理があったかな・・・しんがりは権太郎師匠の<富久>。師匠独特のすこし活舌の悪さで生きているフラのある語り口が災い。とんと〜んと浅草〜日本橋を走る幇間久兵衛、頭領など生きのいい役柄がちょいと形無しだった。
 深夜、しじみの散歩のついでに吐夢で暖をとっていると、アルスノーヴァ公演のバラシを終えた唐組の劇団員で吐夢の常連が2〜3人やってきた。その中ひときわ年嵩の見覚えのある男は、誰あろう状況劇場の古株、安保ちゃん。彼は新宿で、四谷しもん、小林薫、佐野史郎などの常連を持つ<ナジャ>という有名な店を経営、そして音楽、演劇活動に精だしてる。そして安保ちゃんとオレは・・・数十年ぶりに出会いお互いの存在を確認しあうと、自然と抱き合い、握手を交わし、これからも音楽繋がりで行こうねと、昔話などひとつもない、素晴らしい旧交を温めた。

1月24日(木)

女性が一人でいるときにすることを知れば男性は決して結婚しないだろう はO・ヘンリーの言葉

【20427日】

 昨日から、春を待つちょっとした気持ちの変化から、物でとっちらかった我が家の模様替えに精だしている。
このところ店の35周年記念に作ったCDの宣伝のつもりで始めたインターネット・オークションにはまり、趣味の古民具、アンティック諸々を買い漁っている・・・先日も、「おっこれは安い」と思わず呻ってしまった古箪笥を入札したら運良く落札が出来でき、先日福島県から送られてきた。いそいそと包装を解き引き出しの裏を確認すると嘉永年間の墨文字が墨痕鮮やかに書かれていた。小引き出しの裏にはなにやら詩のようなものが書かれ、ため書きに三国村、賢治とある。ヤヤヤムムムもしかして、これ詩は宮沢賢治の筆になるものか・・・お宝発見ぇぇぇ〜ん!
さっそく、三国村と宮沢賢治をサーチエンジンで検索・・・三国村は新潟、福井、山口県にその名前を見ることが出来るだけで、どうやら東北地方には見あたらない。ということは・・・あぁ〜あ、まったく考えることが卑しい。
とりあえず古箪笥そのものは姿もよく、取り付け金具もその時代からの物で完璧。風呂場で洗い乾燥させクリアで磨き、居間にあるガスヒーターの台にしたらなかなかの気配を醸し出し、すでに我が家の景色の一部になっている。
おいおい、だから模様替えかい?CDはどうなったんだい、これでは主客転倒、まさにミイラ取りがミイラにだ。

1月19日(土)

決して 決して 決してやめてしまうな はチャーチルの言葉

【20422日】

 またまた「朝まで飲兵衛」今年に入ってまだ二十日足らずというのに日夜の御乱行、こりゃ寿命がもたないぞ。
最近の阿佐ヶ谷は、不景気なせいで生き残りに必死なのか朝まで営業をのばしている酒場がむやみに増えてきたような気がする。というか、オレのアンテナがまだまだ盛大に、夜の世界の情報をキャッチしているのかもしれない。
 ちょいとそこらでお目にかかれない(エッヘン)阿佐ヶ谷の隠れ酒場の亭主は、長年、横柄な態度でジャズの店をやってきた習い性で鼻持ちならない一言居士。相性の悪いヤツ、薄気味悪い酒呑、ウスラバカが腹の底から大嫌い。この酒場は亭主と客、客と客が面と向かい合う形の酒場なので、そうとう濃厚なつき合いになってしまい、かなりの頻度で、その人格の奥を垣間見てしまう場面があるので小さな事件は絶えない。とはいえ亭主といえば<相手替われど主替わらず>の稼業は重々承知。相性のいいい人とはつき合いの良いい性格を発揮して、常連のほとんどが相当年季が入ったつき合いになっている。大まかな言い方で片づけると、常連の大半はかなり良い酒飲み連中であると結論づけてしまおう。ただ亭主も、そんな連中とまともにつき合っていると、われと我が身が幾つ合っても足りないので、最近の仕事ぶりにはかなり手抜きが入り始めている。なにかというと臨時休業早じまい・・・その割りによそのの店で呑み始めると、まぁ〜よくもそこまで呑めるものだ、と自分でも呆れるほど人付き合いが良い・・・。
 昨夜も早めに店を閉め吐夢で呑んでいると、閉店時刻というのに、われ関せずとドアを押し開けて佐野史郎登場。すでに、喉元まで酒が満たされているオレ。ロケ帰りだという絶好調の史郎くん。店を閉めたがっている和子。
シチュエーションは予定調和の「どっか呑みにいこうよ!」状態で、三人が向かった先は、阿佐ヶ谷の愛子様の店。ふらりふらふら我が家に辿り着いたのが朝の五時。しじみを公園まで散歩させ床に就いた時すでに意識不明だった。

1月18日(金)

私に分かっていることは 私が、何も知らないということだ  はソクラテスの言葉。

【20421日】

 昨日発売のサライを書店で購入。発売以来買い求めている雑誌のひとつだが、近年の内容にはだいぶ不満があり、きっかけが出来たら購入をやめようと思って・・・が・・・なんとも悪習の果てにある定期購読雑誌の筆頭なのだ。そのサライのなかでも単行本にもなっていて、長年好評連載中の<定番・朝めし自慢>は、オレの知人であるライターの邦子さんとカメラマンの馬場ちゃんが担当しているのが嬉しく、購読を止められない理由のひとつなのだ。
そういえば、昨日買った新春号のサライには、もれなくサライ特製ショルダーバックの付録付。さぁ〜書店に走れ! それでは、その次にある悪習定期購読雑誌とはなにかというと、悲しいかな数少ないジャズ雑誌の大手「スイングジャーナル」。記事内容、最新情報などは捨てがたいものがあるが、広告の多さと分厚い製本、評論家の新譜旧譜に関するメーカーへの提灯記事のひどさも図抜けている。これは、やはり定期購読しているカメラ雑誌などにも共通するものなので今に始まったことではない。ならば、さっさと止めてしまえばいいものなのだが、これがまた長年関わっている趣味仕事の世界のものなので、おいそれと止めることが出来ない。揃いも揃ってなんてこったなのだ。まぁ〜とかく趣味の世界、満足度を求めるのであれば何ごとも辛抱、そうすれば、ショルダーバックも貰えるのだ。

1月14日(月)

私は失望などしない。なぜなら、どんな失敗でも次への前進の新たな一歩となるから はエディソンの言葉

【20417日】

1月14日(月)成人の日 玉川上水散歩←クリック  だいぶ疲労気味の日記・・・誤字脱字軟弱文章御免

1月12日(土)

酒、女、歌を愛さない者は、一生馬鹿な人生を送る はルーサー・キング牧師の言葉

【20415日】

 NHKラジオで湯たんぽの特集を聞いていたら、ゲストの南しん坊がドタキャンらしくアナウンサーが焦っている。ベテランのアナウンサーとはいえ、30分間の番組構成上の不備を時間内いっぱいに補わなければならないというのは、さすがにしんどいと見えて「大変申しわけありません、ゲストの南しん坊さんが、いまだにお見えになりません、事故でもなければと心配です」と、口走っている。こういった場合のアナウンサーの口から、最悪な状況を想定した言葉がでてくると、ぎょっとさせるものがある。が、暫くして、またこの女性アナウンサーが同じようなことを口走った。二回目に聞いた言葉には「MHKをドタキャンするとはいい根性してるじゃないの、私を怒らせたら怖いのよ」・・・と違ったニュアンスに聞こえてしまった。これでも、その昔はその傲った体質の放送曲で禄を頂いていたというのに・・・・幾つになっても、傲った体質に抵抗する性格がでてしまう。それにしても南しん坊いかに・・・

1月7日(月)

ハギ、キキョウ、 クズ、オミナエシ、 フジバカマ、 ススキ、ナデシコ これぞ七草

【20417日】

 早くもやってきた春の七草粥の日。秋の七草は食べられそうだが、春の七草はマジに食えるのか?考えてしまう。今年の東京あど弁舎の仕事始めは例年になく早めの四日。正月休みを三日しか取らなかったのは何十年分ぶりの事。年の初めらしく、何時になく慌ただしくしている和子を後目に、未だ出動せず明日の火曜から行こうかとぼんやりしているオレ。今日も今日とて、階下からのぼってくるスープのいい匂いに、フムフム今日の食事はなにやらスープが主役の食卓らしいなと、昼過ぎたころに布団から起き出す。階段を下りる際にも匂いが・・・うぅ〜いい匂い・・・そうか、今日は七草か・・・とひとりごちしながら歯を磨き顔を洗い、体内の身(実)を浄め居間にいくと、卓袱台の上に熱々の土鍋が置かれていた。食卓に着くとおもむろに和子が蓋を開ける。残念ながら鍋の中身は鶏で取ったきれいな色をした油が浮いたスープの薄味うどん。椀にうどんを取りながら思わず知らず具の数を勘定してみた。
椎茸、にんじん、白菜、長ネギ、ユズ、薄揚げ、鶏肉・・・あらら、帳尻合わせのごとく七品目の具が入っている。がしかし、年中行事である春の七草は、ひとつとしてなし。まぁいいか!
あとで、和子に「今日は七草だぜ」といえば、イヤイヤをしながら「お粥?」と一言いったきり七草はまるで無視。「そういえば、潰れた焼き肉屋からし亭の後に豆腐料理の店ができたそうよ」「よっしゃ、晩飯はそこへ行くべ〜」「ラッキー、今日は買い物に行かないですんだ」。かくして、矢野ケの2002年は相も変わらぬ横着で開幕となる。