平成14年7月 2002.7

7月31日(水)

 蝉の誕生を見る

【20503日】

 明け方5時、朝の散歩にでた。朝の散歩といえば実に体裁がよいが、例の如く外で朝まで酒を飲んでいただけのことで、酔いに任せた愛犬へのご愛想。ことのついでとデジカメ頸に提げブラブラ散歩・・・ふらりふらふら夏の朝、格好の被写体探し。
公園に近づくほどにギンギン合掌するセミの声が鳴り響きだした。人影も見えぬのを幸い、しじみのリードを取り解放すると、脱兎の如く地べたを啄む雀に向かって突進してゆくが、雀は見切りの術よろしく寸前のところで飛上がり近くの小枝で、間抜けな犬を見下ろしチチッとあざ笑っている。ベンチに座りそれをポカンと眺める長閑さも、真夏の朝の清々しい空気が、酔いに火照った気だるい体には心地よい。
 誰もいない朝の公園、立ち上がり腕を振り腰を回し、ひとり朝のラジオ体操しながら、何気なく見事に繁茂した植え込みを覗くと、地面に無数の穴をみつけた。
毎年のことながら、この公園から巣立っていく蝉の抜け穴であることはすぐに理解は出来たが、この年のその抜け穴の数の多さには驚いた。何回かシャッターを切り終わり植裁された植え込みの低木の茂みを見ると、いままさに羽化寸前の蝉まで見つけた。
 この夏最大の発見に、おもわずカメラを向けシャッターを押した。デジカメのフラッシュが発光した瞬間、なんとその蝉は抜け殻を残し地べたに落下してしまった。
まだ羽の色も体の色も弱々しそうな薄身がかかったその蝉は、身動きひとつしない。
頑張れと声に出さぬがジッと見手いるしかないオレの心に、生命の営みにたいする慚愧の念が沸々とわいてくる。と瞬間、ジッと一声発しながらバッと空中に飛び上がった。見あげれば大木の小枝にしがみついている空蝉の群。
写真的には最低な出来となってしまったが、齢五十七歳、真に貴重な体験をした・・・夏の朝だった。

7月28日(日)

【20500日】

 長野の伊那谷から、故人となった旧友の葬儀を一切仕切ってくれた、超自然派の愛すべきカップルが阿佐ヶ谷にやってきた。彼の名はタケちゃん、彼女の名はナオちゃん。二人は現在共同生活をし彼は山羊を彼女は猫をペットに飼っている。彼の仕事は、山を守り山を育て山の木を切るきこりさん、彼女はエステ関係の美容の仕事をしている。彼らは自分の意志によって行動することを旨としながら、いまの仕事に誇りを持ち共に尊敬の念を持ちあっている。時には派手な喧嘩もするそうだ。しかし、彼女はむかつきながらも朝早い彼のため弁当の支度を欠かしたことがないという。オレが「ナオちゃんエライ!それは凄いなかなかそうは行かないものだ、普通はコンビニで弁当買って行け!てなもんだろうよ!」と、精一杯の賛辞を贈ると彼女曰く「だってコンビニなんて近所にないし、早朝から山の中まで仕事に行ってお弁当がないなんて辛すぎるじゃない!それに、お弁当も作らない私もタケちゃんも、山の仕事仲間からバカにされるよね」と、こともなげに言ってのける。タケちゃんも「ホント、弁当なしで山になんかいけないよ、余りにも淋しすぎるよね、たまには怒りの塩がふいている飯の時もあるけれどね、ヘッヘッヘヘ!」と、二人で頷きあっている。ほぇ〜勢いよく酒を飲み良く笑い明るい彼らを見れば、まだまだ幼さが残る20代の若者!
都会ものには、おいそれとは理解できない、素敵な二人に感動!ますます、彼らのことが好きになってしまった。
旧友が残したくれた、伊那谷の素晴らしい人たちとの関係に感謝!そして、100日前に旅立った彼に合掌!

7月22日(月)

【20494日】

 何時になく気持ちも穏やかな日なので、雑記帳を開いた。実に約一ケ月ぶりの日記である。
昨日まで、毎日毎日これでもかと押し寄せるさまざまな出来事が立て続けに起きていたというのに、いざテーマを絞って書こうとするとなにを書いていいものやら、キーボードの音もとぎれとぎれで、思考が定まらない。
そこへタイミング良く、阿佐ヶ谷とジャズをテーマに原稿を依頼されていた雑誌が出来上がってきたので、それではこの雑誌に書いたオレの駄文でも読んでいただこうと・・・・
季刊雑誌<ユジク>創刊号を紹介することにした。テーマは中央線ノスタルジア60’s・・・広告一切なしの、写真綺麗の、中身てんこ盛りの意外性が面白い。
紹介といっても、雑誌の表紙を見せるだけ。全国の書店販売だそうなので、興味のある人は買って下さいな。
また、雑記モードに入れそうなので、またオレの世迷い言でも聞きに・・・ここ阿佐ケ谷不届記までお越し下さい!