平成14年8月 2002.8

8月29日(木)

沖縄急接近。

【20532日】

 くそっ〜〜なんて暑さだ。この暑さを逃れ明日から沖縄に旅行に行く友達のカップルがいる・・うらやましい。
このカップルは驚くことに毎月沖縄旅行に出かけている。この不況真っ直中の日本では考えられない。毎月ですぞ!オレの友人にはかなり裕福なヤツや、けっこうな高等遊民もいるが、こんなに余裕かましているヤツも少ない。
かといって、このカップルに有り余る預貯金があるわけではなく、ましてや泥棒行脚の類でもない。あるのはチープ・スリル遊びの哲学だけだと睨んでいる。チープなスリルを味あうには、日頃、生活の水面下でさまざまな知恵を絞っているからこその遊びだろう。そういえば数年前に彼らに連れられ沖縄を二泊三日の旅したことがある。その時かかった費用はなんと極安の二万5千円。旅行から帰りおおいに友達たちに自慢し、羨まれたものだった。
それでも彼らにとってこの料金はちょいと高めの料金だと言った記憶がある。なにせ一泊二日で沖縄を9800円で旅する彼らの皮算用だから。そして今回は3泊4日で二万九千円。とにかく彼らのおかげで沖縄が急接近したのだ。

8月26日(月)

テトリス。

【20529日】

 何気なくダウンロードしたゲーム・テトリスをちょこちょこと触っていたら、思いっきりはまってしまった。
病膏肓を自覚したのは、今日の吉祥寺の喫茶店<くぐつ草>で待ち合わせの人との時間潰しをしているときだった。駅に向かう途中、先日、朝日新聞の文芸欄に紹介されていた石川真生という女性カメラマンの「沖縄ソウル」という写真集を本屋で購入し鞄に忍び込ませた。半径500メートルの生活エリアで怠け人生を謳歌する者には、久しぶりに昇る駅の階段さえ腰膝関節をギシギシ悲鳴を呻らせ、不摂生生活の報いを知らされる。降り立った副副都心という位置づけにある吉祥寺でさえも、いまは真に歩きづらく待ち合わせた吉祥寺のその喫茶店のイスに座った瞬間、早くも困憊状態だった。
生来せっかちなオレは、約束時間よりかなり早めに待ち合わせ場所に着いていなければ、心が騒ぐので早めに出かける慣わし。今日も早めに到着した所在なさに、多少暗めの店内で先ほど買った「沖縄ソウル」その本を開いた。
沖縄女性カメラマンの半世紀である写真集のキャプションの多さに、ちょいと閉口しながら読み進んでいくと・・・突然、ページの文字行間段落に様々な形をしたテトリスが、文字列上部上からつつっと降り、行間に段落に嵌った。ギョッとしながらも辺りに悟られぬようそっと本を閉じ目を瞑ると、あの形がどぉ〜〜と瞼の裏に降り始める。
目を開けるとテーブルに置かれたコーヒーのカップまでが、妙な形に見えはじめ・・・気分までが悪くなった。
奇妙奇怪なインテリア<くぐつ草>とはいえ、恐怖の白日夢であった。そして心に誓ったもう〜止めようテトリス。

8月23日(金)

命の瞬間。

【20526日】

 微妙な霧雨が降り出した午後のこと、毎度お馴染み我が家の愛犬しじみとの散歩の道すがら、行く手前方左手の聳える松の大木の根方でジジッと蝉の鳴き声がした。瞬間幹の裏から黒々とした鴉が刃の切っ先を突き出すように嘴を鋭く見せた。小体ながらプクリと太った熊蝉が、見切りの術よろしく刃の切っ先を避け、身を旋回させ飛び立った。ちょいとした命の瞬間を見たおかげで、今日の凌ぎやすい陽気の散歩は、なんとなくいい心持ちになれ儲けた気分。今日は、なにか良いことがありそうだ。

8月18日(日)

阿佐ヶ谷ジャズストリート。

【20521日】

 今年もまた阿佐ヶ谷ジャズストリートの開催が、10/25(金)、26(土)の両日に行うことが決定した。
新装開店したAmericanBrackMusic Dongaraは、今年も井野信義×福村博さんのデュオで参加することにした。
彼らは奇しくも同年齢。1971年、井野チンは鈴木勲、福村さんはナベサダのグループに参加してジャズ界にデビューしている。永年ジャズ一筋に生きてきた彼らもはや五十代に突入した。そんな盟友同士なのだから、Dongaraのライヴ会場は、きっと素晴らしい二日間になると確信している。どんな演奏になるのか、いまから楽しみだ。

8月8日(木)

父の命日にバイクで事故った。

【20511日】

 毎日、人の体温以上の暑い日々が続く、今日は美味しいソーセージとチーズを買い出しに、バイクで出かけた。
走り出して暫くすると、今日はオヤジの命日だったのを思いだした。昭和29年7月29日夜、親父は仕事帰りに同僚といっぱい引っかけ、甲州街道を新宿方面から当時の住居であった大蔵省の寮がある桜上水に向かって自転車で走っていた。幡ヶ谷辺りの交差点に差しかかったとき、スピードを競い合っていた二台のタクシーの一台に激突され、10数メートルはじき飛ばされ近隣の救急病院である玉井病院に収容された。病院に駆け付けベッドに寝かされた父を見た母は、うちのお父さんが何故こんな事故に遭わなければと、異常に取り乱し居合わせたタクシー運転手を脅迫感に追い込んだという。当時の交通事情から考えて交通事故などは日常身近に起こりえない事実だったので無理もない。父は、若いということ日頃からの体力自慢がそうさせたのか、かなりの強心臓だったそうで、その後意識混濁のまま翌月の8日まで、母に身内に淡い期待を持たせながら、40数年前の今日36歳の若さで逝ってしまった。
そんな事実を背景に背負っているというオレなのに、今日危くとんでもない事故の加害者になりかかってしまった。暑さと運転慣れした慢心が、車間に割り込んで路肩をは走ってくるバイクを見落とし、みごとに側面衝突をした。
一瞬のこと、オレは転倒したバイクから投げ出され、舗道に飛んでいた。オレのバイクの側面にぶち当たった仕事用のバイクとライダーは縦列した車の脇に転倒、荷台に積んだあったのだろう鞄は路上に投げ出されていた。
被害者である相手の人はと見ると、すっくと立ち上がり「バカヤロー、日頃からハーレーに乗って鍛えているオレだったからいいようなものの・・バカヤロー」と吼える気丈な相手。弁解の仕様もない最悪な事態である・・・
しかし、その後の話し合いでオレが完璧な加害者として事後処理をする約束をすると、清々しいほどあっさりと承諾をしてくれ、実に今どきに珍しい小気味のいい人だった。その後電話で話したところ、バイクにトラブルはあったもの本人の体には損傷が無さそうだと言ってくれたので、自分の体のことも合わせ、ホット胸をなで下ろした。
よりによって父の命日に事故。その相手がとてもいい人であったこと・・・まったく事実は小説より奇なりである。

8月7日(水)

あのCONVOY SHOWが阿佐ヶ谷に来た。

【20510日】

 毎日、人の体温以上の暑い日々が続く、人一倍暑さに弱いオレとしては引きこもり症候群状態なので、辛い。
今村ねずみはじめCONVOYのメンバー全員と、社長の明宏以下総勢20数名のスタッフが、CONVOYの日生劇場次回公演「雲のゆくえ」という劇中に流す映像の撮影のため、朝から阿佐ヶ谷にやってきた。夏ばてと夏枯れに襲われていた阿佐ヶ谷も、東京名物七夕祭りの最終日ということもあり、パールセンターと駅周辺は人でごった返していた。同じ町内ながら、その祭りの外で味噌っかす状態の脇道にある吐夢も、今日ばかりはCONVOYの撮影現場ということで、祭りに連動したかのように何時にない活況を見せた。が、なにせ店内だけなので誰ぇ〜〜もしらいな。
さて、何故あのCONVOY SHOWが吐夢で撮影なのという本題に入りたいのだが、まだ事務所から許可が下りない。
個人的ながらオレの人生においてもビックニュースなので、書くことも出来ず・・・歯がゆい状態なのだ。
持って回ったようだが、このことは何時か思いっきり書ける日が来るだろうから、それまでお許しを願っておこう。ともかく声を大にして叫びたいほどの出来事なのだぁ〜〜〜〜!はぁ〜しゃべりたい!

8月6日(火)

あっ暑ぅ〜〜〜〜い!

【20509日】

 この暑さに負けじとばかり、勇気を奮って先週から予約していた掛かり付けの歯医者に行ってきた。
汗ばんだ手のひらにべとりとまとわりついてくるドアノブを引き、診療所に首を突っ込み待合室を見ると、いつもは年寄り連中の溜まり場であるそこには珍しく患者はひとりもいなかった。精一杯張り切っているエアコンの涼しさだけが、何時にない清涼感で恐怖の診療室を支配していた。のんびり帳簿の整理をしている強面の先生に開口一番「先生こう暑くちゃ予約はみんな取り消しでしょう」というと「そうですね・・・これでは今日はダメでしょうね」と、事も無げに涼しげに・・・他人事の返答をする。
さすがは歯医者だ。日々の出来高に一喜一憂している我々のような小商いのものは、こうは泰然としていられない。何時になく念入りな先生の言葉「ハイお疲れさまでした、今日で診療は完了しました、ごくろうさま」にビックリ!これも、小商いの者にはなかなか真似の出来ない殿様商売だ。オレだったら・・・どぉ〜〜んと引っぱるだろうな。一日冷やされ続けたドアノブを引くとボァ〜〜ンと襲ってくる路上の熱気。ふり返り医者の診療室に続く母屋の佇まいを見あげ、あぁ〜なるほど日々の生活に困らぬ方の暮らし向きだと、妙な塩梅な気分で佇む暑さボケのオレ。

8月1日(木)

 蝉の誕生を見る。第2弾。

【20504日】

 昨日に続き、蝉の生態に出会えるかと愛犬しじみと共に公園まで出かけてみた。今日は昨日より2時間ばかり早い午前3時、都会の町中の公園とはいえ園内はとっぷりと夜の静寂に染まっている。さすがにこの暗さでは見つかるものでは無かろうと、半ばあきらめの境地でしじみと公園を渡りきろうとした出口付近に並んだ一本の大木の地上1.5メートルに、なにやら普段の景色とは妙に違う気配を察知した。すかさずそのものに近寄り目を凝らしてみると、驚いたことに脱皮直後であろうと思われる空蝉とともに木肌にしがみついた一匹の蝉を発見した・・・昨日に続き、なにやら湧き起こる不思議な感動と、この凄い幸運に胸が躍る。昨日、慚愧の念に駆られた失敗もわすれ、あらゆる角度からシャッターを切る。ストロボの光に浮かび上がる清冽なまでに静かな蝉の姿に実入りながらも、その瞬間にも翔んでいってしまうのではないかと、不安を抱いてしまう。暗さのなかの撮影。昨日の失敗を反省しながら、あらゆる角度からの撮影していると、木の根本近くに不気味な物体を発見した。なんとなんと、それはまさに穴から出て今この木に辿り着いたばかりであろう、背中にこれからの姿を宿した脱皮寸前の蝉。凄い、もう大感動。こちらの方は、すでに、鳥たちも起き出す危険な明け方も迫ろうとしているというのに、一歩も上に這い上がれないほど全勢力を使い果たしてしまったかのように、ぴくりともしない。なにやら不安な気持ちになるも、こちらも数枚撮影をした。この後どういう時間のサイクルで脱皮をするのかも分からぬもどかしさを押さえ、暫く観察していたがいっこうに変化を見せぬ蝉の姿に痺れを切らし、家に帰った。
家に帰りデジカメの撮影具合を見ていると、またまたあの蝉たちのことが気に掛かりだしてしまう。
寝ようとするがどうしても気になり眠れぬまま、テレビの青春映画を見ていると、外も白々とした5時を迎えた。
一緒に映画を見ていた嫁さんに、「ちょっと公園まで見てくるわ」というと「私も見に行く」という。またまた散歩に出かけられる「こりゃラッキー」な我が家の愛犬しじみと共に、仲良く家族で明け方の公園まで出かけてみた。
公園出口の大木には、すでに脱皮していた蝉の姿はなかったが、根元にすがりついていた蝉はまだ2時間前と同じ姿のままだったので、ちょっとがっかり。これからどんな運命を辿るのか気を揉ませる蝉をバックに、嫁としじみの2002年8月1日「こんなにいろいろな蝉の生態が見れる年も少ないよね」記念撮影。
<土中七年現世七日>蝉の寿命になにか深い意味があるのかと思案をしながら、あららオレの一年の早さはなんだ。